【連載】世界の療法アプローチ 第7回|カテゴリー:手技療法・体の歪み・姿勢
この記事は情報提供を目的とした連載コラムです。姿勢や痛みが気になるときは、主治医や理学療法士にご相談ください。
この記事でわかること
- パーキンソン病でなぜ姿勢が崩れるのか
- 前かがみ・体の傾きの正体
- 姿勢は「原因」ではなく「結果」だということ
- 日々できる姿勢のケア
1. 姿勢の崩れは、めずらしくない
パーキンソン病では、背中が丸くなる、頭が前に出る、体が左右どちらかに傾く、といった姿勢の変化がよくみられます。強く前へ折れ曲がる「腰曲がり(camptocormia)」や、体が横に傾く状態を含めると、報告によって幅がありますが、患者さんのおよそ2〜3割、多いものでは3人に1人程度に、なんらかの姿勢の変化があるといわれます。
これは気持ちの問題でも、姿勢の悪いくせでもありません。病気にともなって起こる、体の変化です。
2. なぜ姿勢が崩れるのか
おもな理由は、筋肉のこわばり(固縮)です。とくに体幹や首まわりの筋肉がかたくなると、体は前や横へ引っぱられ、まっすぐを保ちにくくなります。あわせて、姿勢を細かく調整する体の働きが弱くなることや、背骨まわりの筋肉の変化も関わります。
これらが重なって、前かがみや傾きといった姿勢があらわれます。
3. 大切な視点 — 姿勢は「結果」であって「原因」ではない
ときどき、「体の歪みがパーキンソン病を引き起こしている」「歪みを直せば病気が治る」といった話を耳にすることがあります。ここは、落ち着いて受け止めたいところです。
研究でわかっているのは、姿勢の崩れは病気の結果として起こる症状だということです。歪みが病気の原因ではありません。ですから、「歪みを整えれば治る」と考えて、効果の確かめられた治療やリハビリを後回しにしてしまうのは、避けたいことです。
一方で、崩れた姿勢や、それにともなう筋肉の緊張・痛みを、手技やリハビリでやわらげることには意味があります。姿勢のケアは「治す」ためではなく、「今を楽に、動きやすく過ごす」ために役立ちます。この連載でこれから紹介する整体・鍼灸などの手技も、この考え方で受け止めてください。
4. 日々できる姿勢のケア
- 鏡でときどき自分の姿勢を確認する — 自分では気づきにくい傾きを、目で見て整えます。
- 背すじをのばす動きを、こまめに — 胸を開き、上を見る動きが、丸まりがちな背中をリセットします。
- 大きく動く意識 — 動作を意識して大きくすることが、姿勢の維持にもつながります。
- 専門職に相談する — 理学療法士は、その人に合った姿勢の運動を教えてくれます。痛みが強いときも相談を。
まとめ
- 前かがみや体の傾きは、筋肉のこわばりなどによって起こる、病気の症状。
- 姿勢の崩れは「結果」であり、歪みが病気の「原因」ではない。
- 手技やリハビリは、治すためではなく「今を楽に過ごす」ために役立つ。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的とした連載コラムであり、特定の療法を推奨・保証するものではありません。効果や安全性には個人差があります。姿勢や痛みの対処については、主治医または理学療法士にご相談ください。
参考にした主な情報
・パーキンソン病の姿勢・骨・関節障害の総説(PMC)
・Stooped Posture(Parkinson’s Foundation)