【連載】世界の療法アプローチ 第5回|カテゴリー:運動・身体技法
この記事は情報提供を目的とした連載コラムです。新しい運動を始める際は、主治医や理学療法士にご相談ください。
この記事でわかること
- 気功とはどんな運動か、太極拳とどう違うのか
- パーキンソン病に役立つといわれる理由
- 研究でわかってきたこと
- 自宅で見ながら練習できる動画(八段錦など)
1. 気功とは — 呼吸と動きを合わせる養生法
気功は、中国で古くから伝わる養生法です。ゆっくりとした動きに、深い呼吸と、心を落ち着ける意識を合わせます。第2回で紹介した太極拳と同じく、中国の伝統的な身体技法の仲間です。
太極拳が一連の流れる動作を続けていくのに対して、気功は「八段錦(はちだんきん)」や「五禽戯(ごきんぎ)」のように、一つひとつの決まった動きを、呼吸に合わせて繰り返すものが多いのが特徴です。動きがシンプルなので、覚えやすく、体力に合わせて調整しやすい利点があります。
2. パーキンソン病に役立つといわれる理由
- 呼吸が深くなる — 動きと息を合わせることで、呼吸が整い、リラックスにつながります。
- 体をゆっくり大きく動かす — 小さくなりがちな動作を、意識してのびやかに動かす練習になります。
- バランスと姿勢を養う — ゆっくりした重心の移動が、立つ・歩くときの安定を助けます。
- 気持ちが落ち着く — 静かに体に意識を向ける時間が、不安や緊張をやわらげます。
3. 研究でわかってきたこと
複数の研究をまとめた解析では、気功や太極拳といった中国の伝統的な運動が、運動症状のスコアや歩行・バランスの改善に役立つと報告されています。とくに気功は、短めの期間でも運動症状の面で手ごたえが得られやすい、という報告があります。パーキンソン病の方を対象に、八段錦を続けてもらう研究も行われています。
4. 動画で見る — 八段錦(自宅で一緒に練習できます)
気功は動きが区切られているので、動画を見ながらまねしやすい運動です。ご自身のペースで、できる動きから始めてください。
- Qigong – Baduanjin for Parkinson’s(パーキンソン病向けの八段錦の解説)
- YouTube「8 Brocades Qigong Follow-Along for Beginners」(初心者向け・一緒に動く八段錦)
- YouTube「Health Qigong – Ba duan Jin」(Faye Yip 師範による八段錦のお手本)
- YouTube「8 Brocades Qigong Practice」(通しで練習できる八段錦)
※外部サイト・動画へのリンクです。内容は各提供元の責任で公開されています。体調に合わないと感じたら、無理をせず中止してください。
5. 安全に続けるために
- ふらつきが心配な間は、壁ぎわや椅子のそばで。座ったままできる動きから始めても構いません。
- 薬が効いている時間に合わせると、動きやすくなります。
- 痛みや強いふらつきが出たら休む。呼吸を止めず、ゆっくり行いましょう。
まとめ
- 気功は、呼吸と動きを合わせる中国の養生法。八段錦などは覚えやすく調整しやすい。
- 研究では、運動症状やバランスの改善が報告されている。
- 動画を見ながら、椅子に座ってでも始められる。心配なときは理学療法士に相談を。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的とした連載コラムであり、特定の療法を推奨・保証するものではありません。効果や安全性には個人差があります。新しい運動の開始や中止は、主治医または理学療法士にご相談ください。外部リンク先の内容については、各提供元が責任を負うものです。
参考にした主な情報
・太極拳・気功の系統的レビュー&メタ解析(PMC)
・八段錦のパーキンソン病への遠隔介入に関する研究プロトコル(PMC)