【特別連載】西洋医学の”今”と”これから” 第7回
この記事は情報提供を目的とした連載コラムです。手術に準じる治療であり、適応があるかどうかは主治医・専門医との相談が必要です。
この記事でわかること
- 集束超音波(MRgFUS)とはどんな治療か
- DBSとの違い
- 日本での承認状況
- 知っておきたい限界と注意点
1. 「切らずに」脳の狙った場所を治療する
MRgFUS(MRガイド下集束超音波治療)は、頭の外から超音波を一点に集め、脳のごく狭い範囲だけに熱を加えて治療する方法です。虫眼鏡で太陽の光を一点に集めるのに似た仕組みで、通り道になる部分にはほとんど影響を与えず、狙った場所だけをピンポイントで治療します。MRI(磁気共鳴画像)で脳の中を見ながら行うため、正確な位置を確認しながら治療を進められます。
2. DBSとの違い
前回紹介したDBSは、脳に電極を植え込む手術です。効果を細かく調整でき、必要があれば元に戻すこともできますが、開頭手術や、体内に機器を植え込むことにともなう負担があります。
MRgFUS は、頭を切り開く必要がなく、装置を体内に残すこともありません。日帰り、または短い入院で行えることが多く、体への負担が比較的少ないのが特徴です。いっぽうで、一度治療した部分は元に戻せず、DBSのように後から刺激の強さを調整することもできません。ふるえが強いタイプなど、向いている症状にも違いがあります。「どちらが優れているか」ではなく、症状や体の状態に応じて使い分けるものです。
3. 日本での承認状況
日本では2020年、パーキンソン病にともなうふるえや不随意運動(ジスキネジア)に対して、MRgFUSが保険適用になりました。切らずに治療できる選択肢として、DBSでの手術がためらわれる方などに、少しずつ広がっています。
4. 知っておきたい限界と注意点
MRgFUSは体への負担が少ないぶん、治療できる範囲や対象になる症状には制限があります。両側を同時に治療することが難しい場合があることや、頭蓋骨の厚さ・形によっては十分な超音波を届けられないことがある、といった技術的な制約も知られています。「切らずに治療できる」という言葉の印象だけで判断せず、自分の症状に本当に向いているかどうかを、専門医としっかり相談することが大切です。
まとめ
- MRgFUSは、頭を切らずに超音波で脳の狙った場所だけを治療する方法。
- DBSと比べて体への負担は少ないが、一度治療すると元に戻せず、調整もできない。
- 日本では2020年にパーキンソン病のふるえ・ジスキネジアに対して保険適用に。
- 治療できる範囲や向いている症状には制限があり、専門医との相談が欠かせない。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的とした連載コラムであり、特定の治療法を推奨・保証するものではありません。治療の適応については、必ず主治医・専門医にご相談ください。
参考にした主な情報
・日本におけるMRgFUS保険適用に関する発表(2020年)
・Focused Ultrasound Foundation 資料