簡単な自己紹介をお願いします。
M.Sと申します。4月で73歳になります。発症は63歳のときで、治療を始めたのは65歳です。パーキンソン病歴は11年目になります。
55歳で有料老人ホームを退職したあと、短大で4年間学びました。2年間は食物栄養学、残りの2年間は図書館学です。趣味は読書で、若いころは年間200冊ほど小説を読んでいました。
今は、パーキンソン病友の会で、一人でも救われる方が増えるように努めています。
「何かおかしい」 その違和感から始まった
最初に感じたのは、歩くときのふわふわした違和感でした。なかなか一歩が出ず、後ろに下がってしまうこともありました。腰の痛みも強くありました。
当時は今より体重もあり、整形外科の先生に勧められて、ほとんど毎日プールで4km歩いていました。それでも、普通に道路を歩いているときに、「自分で歩いている感じがしない」という、何とも言えない感覚がありました。
一緒に歩いていた主人も「やはりおかしいから、診てもらったほうがいい」と言ってくれて、整形外科を受診しました。そこから神経内科を紹介されましたが、そのときは検査結果が「ボーダーライン」と言われ、しばらく様子を見ることになりました。
そのころには、左手のふるえも出ていました。薬で少し緩和はしましたが、第一歩が出にくい症状は変わりませんでした。
1年後、かかりつけの内科の先生が九州大学病院を紹介してくださり、自分でも症状の変化を記録して持参しました。すると、2回目の受診で「検査ではまだはっきり出ていない部分もあるけれど、症状と記録を合わせると、間違いなくパーキンソン病だろう」と言われました。
そのときは、やはりそうだったか、と思いました。
診断後、どのような思いで治療と向き合ってこられましたか?
当時は主人と国内外へ旅行することも多く、病気のことをどこか後回しにしていた時期もありました。けれど、症状が進む中で、治療は医師任せにするだけではなく、自分の状態をきちんと伝えて、適切な治療を受けることが大切だと思うようになりました。
それからは、診察の前に、前回からの変化や最近の状態を必ず記録して受診するよう心がけました。
自分の体のことを、きちんと自分でも見つめる。そういう姿勢が大事だと思っています。
DBS手術に進むまでには、葛藤もあったのではないですか?
はい、ありました。
治療開始から1年ほど経ったころ、インターネットでパーキンソン病にも手術療法があることを知りました。主治医に相談すると、最初は「まだ早いので、もう少し先に考えましょう」と言われました。次の診察の際には、脳神経外科への紹介状を書いてくださっていて、そこから少しずつ具体的に話が進んでいきました。
ただ、主人は当初、DBSに大反対でした。けれど、ご近所の方から「DBSを受けて元気になり、その後10年間、楽しく旅行をしながら過ごされた方がいる」という話を聞いて、やっと手術を受けることができました。
手術前には、心理テスト、飲み込みの検査、CT、MRI、嗅覚の検査など、たくさんの検査がありました。嗅覚が認知症と深く関係していることを知ったのも、そのときでした。
入院と検査を重ね、私は合計2回の手術を受けました。2回目は69歳のときでした。脳外科の先生からは、私の場合は70歳がひとつの目安になると説明を受けていました。
手術後、体の状態はどのように変わりましたか?
退院後は、それまで難しかった下着の着脱や散歩ができるようになりました。
料理のときにも、包丁をしっかり持って千切りができるようになって、「私、こんなに上手だったかしら」と思ったほどです。
何気ない日常の動作ができるようになることが、こんなにも嬉しいことなのだと感じました。
今、症状でいちばん困っていることは何ですか? また、そのために工夫していることはありますか?
すくみ足です。転倒が続いた時期があり、膝にたんこぶができて、正座や四つん這いをすると強い痛みがありました。
今は、転んだときの衝撃を少しでもやわらげるために、必ず両膝に厚手のサポーターをしています。
それでも痛みはありますので、何より転ばないように、最初の一歩をとても大切にしています。
「せーの」と声に出して、自分に合図をしながら、慎重に、ゆっくりと一歩を出すように心がけています。
パーキンソン病になって、気づいたことはありますか?
この病気の方には、賢い方が多いなと感じました。
そして何より、つらさは自分で体験しないと、本当の意味ではわからないのだということです。
健康だったころの私は、そのことを本当にはわかっていなかったのだと思います。
Sさんにとって、パーキンソン病とはどんな存在ですか?
私にとってパーキンソン病は、自分の本質が、今まで自分で思っていたものとは違っていたことを教えてくれた病気です。病気はつらいものです。けれど、その中で見えてくる自分もあったように思います。
友の会はどのように知りましたか? また、Sさんにとって友の会はどんな存在ですか?
昨年、一緒に旅をしたYさんが背中を押してくださり、やっと友の会にたどり着くことができました。
私にとって友の会は、心の支えです。
同じパーキンソン病の方たちに向けて、一言お願いします。
一人で悩まないで。わかってくれる仲間がいるよ。
最後に、伝えたいことがあればお願いします。
私自身、病気に無関心だった時期がありました。だからこそ、私のように支えを必要としている人に対して、少しでも支えの一部になれたらと思っています。